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歌いながらの腹式呼吸はいらないのか?効果的な練習方法で歌も上達!

こんにちは。新宿目黒・オンライン、ボイトレ教室Harmoniaのフェルナンデス由布子(@fernandesyuko)です。

「腹式呼吸ってなんですか?」

そう聞かれて正しく答えられる方はほとんどいません。

どこかで間違えてるか、
勘違いをしているか、
そもそもよくわかってないか。

教室でも巷でもよく聞く声がこういうものです。

*歌には腹式呼吸が大事なの知ってる
*説明しろと言われたら、、困る!
*えっと「お腹に空気が入るのよね?」
*歌いながら腹式呼吸やると疲れちゃう


歌を思う存分楽しむなら、疲れることなく歌いたいですよね?

でも、あやふやな知識を元に実践しているといつまでたっても苦しいまま。

声に関わる身体の動きは
目に見て確認しにくいので、
正しい知識や情報を入手してから
しっかりと体に落とし込む必要があります。

その習得のためには大きな勘違いに気がつき、正しい情報を得ることが第一。

正しい腹式呼吸とはなにか
何をトレーニングすればよいのか、

どこを鍛えていけば良いのか、
具体的にお伝えしていきますね!

目次

歌いながらの腹式呼吸とは

yuko

実はそもそも「歌うときには腹式呼吸なんだ」と限定するのが間違っています!追加記事は下記へ(2022年1月追記&編集)

yuko

先に上記の記事とその中の動画を見てから、この記事に戻ってくることをオススメします!行ってらっしゃーい!

呼吸とはなにか

まず「腹式呼吸とはなにか」を知る前に「呼吸とは何か」です。

呼吸とは、気圧の変化による空気の出入りです。

肺は風船と同じで筋肉がなく、それが単体で動くことはできません。

周りの筋肉が動くことで肺の容積が増減し、内部の気圧も変わるため空気がでたり入ったりします。

これが超大事です!

だから、呼吸は「吸う」というより、「体を開く」という方が正しのです!

流れで書くとすると・・・

STEP
身体が開く

横隔膜や肋間筋、背中、場合によっては肩や首の筋肉が動いて身体が広がります。

STEP
身体の容積が大きくなる

広がれば身体の内部の容積は大きくなる。

STEP
同時に肺も広がる

筋膜などで筋肉とくっついている肺も伸びて大きくなります。

STEP
肺の中の気圧が下がる

肺の容積が大きくなれば、気圧は下がります。

STEP
外から勝手に空気が入ってくる

風は気圧が高い方から低い方に流れる。肺の中の気圧が下がっていけば、外の気圧が高い方から勝手に空気が体内に流れてくる。

これが呼吸の原理原則です。歌う時は最後もう少し自ら「吸う」という感覚がプラスされますが、基本はこれ。

腹式呼吸とはどうやるのか、

腹式呼吸というのは、この上記の呼吸の流れの中で、主に横隔膜を使う呼吸のことです。

横膈膜とは、肋骨の下についている、身体を真っ二つに分けるドーム状の筋肉のこと。

横隔膜の上下運動で、肺の容積を変え気圧に変化を起こしてるのです。

図で言うとこちらの赤茶色の部分が横隔膜。胴体を真っ二つに分けていますね。

この図ではドーム型のようですが、下に動けばお椀型になります。

歌う時には腹式呼吸なの?胸式呼吸なの?その違いはなに?

上記にある追加記事に書いてある通り、そもそも

yuko

「歌うときは腹式呼吸」が勘違いの元

と思っています、私。

でもね、

yuko

横隔膜がきっかけになるのは
間違いはありません。

では腹式呼吸と胸式呼吸の違いはなんでしょう?

肺は風船と同じ。自分の力では動かすことができません。筋肉がないからです。

そのために周りの筋肉がサポートして肺を動かして肺の中の気圧を変え、呼吸が促されてるのです。

主に胸周りや背骨、脇腹などの胸郭周りの筋肉を使って気圧を変化させているのが胸式呼吸。

この「肋骨を開く」ことは、歌の呼吸でマストな動きなんです。

だから、これを胸式呼吸と呼ぶなら、歌の時は「腹式+胸式呼吸が必要」と言っていいです。

yuko

これについてはぜひ関連記事と動画をチェックしてくださいね!

ただ、肋骨を開くのではなく、肩だけがあがり首をキューっとしめるような胸式呼吸はもちろん歌には向いていません。

吐く息がばらつき当然声も安定しない、また、声帯がちかくにあるため影響を受けやすいのです。

そこは注意してくださいね。

一方、

腹式呼吸とは主に横膈膜を使って、気圧の変化を促す呼吸のこと。

横隔膜は腹部周辺や骨盤底筋群などのインナーマッスルの支えによって動き、
それによって安定した呼気を少しずつ送り出してあげることができます。

ちなみに、どちらの呼吸でもお互いすべて関与しています。

腹式呼吸だからと行って胸回りの筋肉を全く使わない、といことではありません。

腹式呼吸のポイント

音量音圧は吐く息のバランスの影響を受けており、腹式呼吸で動く横隔膜を意識することは、安定した歌唱には欠かせません。

ちなみに音程を変える器官は声帯ですし、音色を変えるのは共鳴器官です。腹式呼吸とは直接的に関係ないですよ。

ただ、スムースに音程をチェンジするのも、様々な音色を作り声の色を分けることも、バランスの良い呼気による発声の延長線上にあります。

間接的には大きく影響を受けています。
(指導者によってはこれを「直接的」という方もいます。)

つまり、安定した横隔膜を意識した呼吸は

*声量をアップさせる
*安定したウィスパーヴォイス
*声密度をあげ声の音圧を高める
*ロングトーンの強化
*声帯の厚みのバランスを取りスムースな音域チェンジ
*音の強弱な減衰などの表現力アップ
*どんな表現をしてもブレない声の安定度

など、数えきれないほどのメリットがあります。歌が上手くなるのは呼吸が鍵、と言ってもいいくらい。

安定した呼吸を送り込むことは、歌の土台なのです。

注意すべき腹式呼吸に関する「勘違い」

NG1 「はい、息を吸って〜」は無し!

正しく安定した呼吸は、横膈膜の上下運動が欠かせません。

横膈膜は自分の意志で動かすことができる随意筋という筋肉です。
(ちなみに、寝ている時の無意識のときにも動くのは、
脳の延髄からも指令をもらっているからだそう。)

ですので、大事なのはその横膈膜をしっかり動かせるか、ということ。

横隔膜が下がり、肺の内部の気圧がさがれば、
勝手に空気は入ります。
意識的に「吸おう」とする必要はないのです。

そこでまずは先にしっかり息を吐くことが気圧の変化を促します。

ですので、腹式呼吸をするときは、まず最初「はい、息を吐いて〜」を意識するのが良いです。

「吸ってー」からでは気圧の変化がないので吸いにくく感じちゃう人も多いようです。

NG2 空気が入ってお腹が膨らむ

腹式呼吸に関する記述で
『空気が肺に入ることによってお腹が膨らむ」と
書かれている記事を時々見かけますが、これは誤った情報です。

空気が入ってお腹が膨らむのではなく、横隔膜や肋間筋などが動いて肺の内部の気圧が変わり(具体的には肺の気圧が下がる)外の空気が中に入って行く、つまり息が吸えるとういこと。

「じゃあどうやって横隔膜って下げるの?」
と思うかもしれませんが、横隔膜は自分で動かすことのできる随意筋。

下の方に記載してある実践トレーニングのところで具体的なやり方を示していますが、

まず、おなかがぺたんこにしてみて。その時横隔膜は少し上がり気味になっている。

次はそのぺたんこになったお腹を押し戻すように緩めてみましょう。その時横隔膜は少し下がっている。

ただ、実際のお腹の動きほどは横隔膜は動いていない、横隔膜はほんのちょっとしか動かない!というのは解剖学で聞いたお話。

でも、見えない横隔膜を意識するにはやりやすい方法かと思うので、是非一度確認をしてみてください。

NG3 腹筋を鍛えよう、の罠

歌には腹筋が大事というのはよく聞く話。

腹式呼吸がうまく出来ないから腹筋を鍛えていたという生徒さんも少なくありません。

しかしここが落とし穴。

いわゆるシットアップ系↑の腹筋をしてもあまり意味はありません。

腹式呼吸で大活躍してくれる横膈膜は、もともと吸うための筋肉で、吐くための筋肉ではありません。

吐く時に頑張っているのは、腹横筋や骨盤底筋群です。

これらのお腹の下の方の筋肉が横隔膜をコントロールし、息を吐く=声を出すのを手伝ってくれているのです。

なので、やるべき腹筋運動は、下腹部やインナーマッスルを鍛える足上げ腹筋!
足は床から45度位上げて1曲歌える位に。

また、後述する「機関車トレーニング」も非常に有効です。

こちらもご参考に。

NG4 腹式呼吸は鼻から吸うのがマスト!

至る所で質問を受けるのがこれ。

腹式呼吸って鼻から吸うんですよね?

呼吸は「鼻」から吸うものです。
生命維持の働きとしてだけみると。

ただ、歌の場合はブレスのタイミングなどを考えると、間奏などの長い休みを除き、口からも一緒に吸うことがほとんどではないかと思います。

なぜかといえば、鼻から吸おうとすると、そのとき口は閉じてしまうものです。

歌のフレーズの切れ目のブレスのたびに口を閉じて鼻から吸うと、

  1. 前の音が伸びているほど次のフレーズに遅れます。
  2. 口を閉じる時の唇や顎の動きによって、余計な破裂音等が出ることもあります。
  3. 顔が忙しくなってブサイクになることも多々w

こんな観点から鼻で吸うより口はゆるりと開けて、鼻の穴から一緒に吸うことをおすすめします。

ただ一点注意することがあります!

鼻から頑張って吸わないこと。
鼻の穴の横が凹むほど鼻から頑張って吸引しようとすると、首に力が入って力みやすいです。

鼻には鼻の穴がある!(笑)。身体の気圧が下がれば自然とその穴から空気は入ります。

上記3つがそうまくクリアできるような、ゆっくりブレスできるような箇所なら、喉が乾かない口を閉じて鼻から吸うことをオススメします。

私は鼻炎などで喉が乾燥しやすいので、ブレスができる長さなどによって使い分けてる感じです。

歌での腹式呼吸を身につけるための横隔膜トレーニング

間違った情報を確認し、正しいしくみを理解をしたら次は横隔膜をコントロールするトレーニングをいくつかご紹介します。

ただ、超大切なことを一つ!

全て歌のための呼吸コントロールに大切なトレーニングですが、歌う時のブレスで「これをこのままやる」というのではありません!

歌う時は、もう少し複合的にブレスします。それなのに一元的に歌の呼吸をとらえることが誤解を招く原因と思っております。

複合的で歌う時の実践的なブレスはこちらに詳しく。(重ね重ねですが。)

ただ、下記のいずれのトレーニングも、歌の実践的なブレスには必要な練習です。是非トライしてください。

横膈膜の上下運動をスムースに。

もう一度言います。

腹式呼吸とは・・・

STEP
身体が開く

横隔膜や肋間筋、背中、場合によっては肩や首の筋肉が動いて身体が広がります。

STEP
身体の容積が大きくなる

広がれば身体の内部の容積は大きくなる。

STEP
同時に肺も広がる

筋膜などで筋肉とくっついている肺も伸びて大きくなります。

STEP
肺の中の気圧が下がる

肺の容積が大きくなれば、気圧は下がります。

STEP
外から勝手に空気が入ってくる

風は気圧が高い方から低い方に流れる。肺の中の気圧が下がっていけば、外の気圧が高い方から勝手に空気が体内に流れてくる。

STEP1のところの、「横隔膜の動き」どうやってやるの?どうやったら身体が広がるの?

横隔膜は先ほど話したように自分の意思である程度コントロールできるから筋肉。

だからこそトレーニング可能なんですね。

まずは基本の横隔膜の上下運動の練習方法です。

1. おへその下10〜15cm下を少しずつ体の中心に向かって押しつつゆっくり吐く。(お腹を凹ませていく)
2. 吐き切ったらお腹を押していた手を緩め、お腹の位置をもどす。(膨らむ感じ)
3. 空気が勝手に入ってくるのを感じる。

たったこれだけです。
吸う必要はありません。
勝手に空気が入ってくるのを感じるだけです。

別の言い方をすると・・・・

息を吐きながらお腹の下を押す➡︎
押し切ったらゆっくりお腹を戻す➡︎
肺の内部の気圧が下がり空気が勝手に入ってくる。
これが腹式呼吸です。

大事なポイントは、まず息を吐き切ることです。

お腹を言われた通りに動かしているのに空気が入ってくる感じがしなかった場合、下記のような原因が考えられます。

横隔膜が動きにくい原因

1.冷えや便秘で内臓が固くなってしまっており、横膈膜を下げられないこと。

腹式呼吸でお腹がでるのは、下がった横膈膜が内蔵たちをベチャッと押しつぶすから。

しかし内蔵たちが固いと横膈膜は下がりません。
つまりは胸郭や肺も広がらない。となると、肺の気圧はさがらず上手く呼吸も入ってこない、ということになります。

2.腹直筋などアウターマッスル鍛えすぎて横膈膜が下がりにくい場合。

アウターマッスルを鍛えすぎ固めすぎて、インナーマッスルが動かないパターン。
特に男性に多いようです。

だから、腹筋も一つ間違えるとむしろ妨げになるのです。大事なのは腹横筋と骨盤底筋群です。

1,2のどちらでもない場合でも、最初は上手くコツがつかめなかったり、そもそもの筋力が足らずに上手く動かせないこともあります。諦めずにトレーニングしてくださいね。

吐く力を鍛える

1のトレーニングを習得して、スムースな腹式呼吸ができても、これで疲れることがなく歌えるわけではありません。

まずその準備ができた段階です。

次は吐く力をもう少し鍛えていきましょう。

なぜか。
横膈膜は元々吸うための筋肉ではないので、吐くためには下のほうの腹筋を鍛える必要があるから。先程書いたとおりです。

「吐く息」が「声」に変わるわけですからしっかりコントロールできるようにしたい。

足上げ腹筋をして鍛えていきましょう。足は床から45度位上げて1曲歌える位に。

それともう一つ。
呼吸とともに下腹部を強化する
トレーニング方法があります。

下腹部のトレーニング

1でやったトレーニングを早くやります。
そして3回目で伸ばすのです。

1. お腹を押しながらシュッと息を吐きすぐお腹を緩めてもどす。
2. 次も同じようにシュッ、と短く吐く。
3. 3回めはシューッと伸ばす
4. これを繰り返す

シュッ・シュッ・シューーーーー
シュッ・シュッ・シューーーーー
シュッ・シュッ・シューーーーー

と繰り返し10回以上できるように。

早くなったり遅くなったり呼吸が乱れたりせず、リズミカルにテンポ良く進めていきましょう。

なれるまではお腹に手を当ててサポートしてあげて下さいね。

コツはシュッとしっかり歯の間から息を吐いてあげること。
それと、下腹部から中心軸を通って上に向かう力を感じること。
なるべく力強い「シュッ!」ができるようになるまで頑張りましょう。

声の支えトレーニング

こちらは、何度もシェアしているこちらの動画で詳しく説明していること。

肺は風船と同じ。上下だけではなくは左右にも広がるんです。

今までは上下の練習ばかりしていましたが、左右の動きもトレーニングせねばです。

歌う時は、お腹の上下は動きますが、それと相反して胴体の左右はピッと内側から支えられて広がっているままなんです。

これを「声の支え」と呼んでいますが、疲れず安定した発声や高音でも力強い声などに関わってきます。

私たちの胴体の中にちっちゃいおっちゃんがいて、腕を広げて大の字になってます。
縮んできそうな私たちの脇腹を、その手でぐーっと広げて支えてくれているみたいな感じ。

こちらにも詳しいです。

ただ、その前に練習するべきことが2つあります。

ひとつめ。
これは左右に広がる力を感じることで逆に力みすぎてしまう場合があります。

なので、力を感じようとするよりもできるだけ長くロングブレス、もしくはロングトーンを吐こう、という練習もとても効果的です。

目標は女性は少なくても30秒以上、男性なら45秒程度。

長く吐こうという練習をすることで必要とされる筋力のバランスが調整されて行きます。

ふたつめ。
左右にキープされる力を感じる前に、左右もしっかり動かせるようにする必要があります。

1.息を吐いて肋骨から胴体全体がきゅーーーっと小さくなる。
2.口から音を立てて吸って、脇腹から空気が入るかのように下から身体が広がって胴体全体がぐーんと広くなる
3.この吸って吐いてを何度も繰り返す。

このように左右の動きが無理なくできるようになって初めてキープできるようになります。

上記の動画に詳しいので是非チェックして下さい。

こちらも是非ご参考に。

腹式呼吸のまとめ

色々と細かく書いていきましたが、大事なのは「無理して吸おうとしない」ということ。

横膈膜や肋間筋が勝手にやってくれるので、お任せする気持ちを大切に。

そして、もう一つ大事なのは、正しいやり方でトレーニングを持続させること。

やり方がイマイチピンと来ない場合は是非体験レッスンにいらしてください。

私達の身体は完璧に出来ています。それをどう使うかは持ち主次第。
是非あなた身体を信じてくださいね!

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