ボヘミアン・ラプソディで知るフレディ・マーキュリーの歌声の秘密

こんにちは 東京新宿・大人のためのボイトレ教室Harmoniaのフェルナンデス由布子です。

頑なにヒップホップしか聞かなかった学生時代でしたが、
例外はレッチリとQueenでした。

特にQueenはロック好きの長兄がきっかけで家にあったCDを聞くようになったのですが、
美しくてメロディアスなボーカルに、教会音楽のようなコーラスワーク(当時はゴスペルなんてまだ知らなかった)、
そして厚いバンドサウンドに度肝を抜かれて、いくつかCDを買ったり借りに行ったりしたことを覚えています。

今回の映画が話題となり、当時を思い出しつつひさびさにQueenを聞く日々を過ごし、11月に一人で鑑賞してきました。

ボヘミアン・ラプソディーの魅力

ボヘミアン・ラプソディー。

最後の30分はほとんどずっと泣いてしまった。

史実と違うところあるらしいけれど、これはドキュメンタリー映画ではないものね。
もう少しフレディのあの音楽性や歌唱力が生まれた背景などを知りたかったな、
と思うところはあったけれど、短い映画に凝縮するには全てを入れ込むことなどできない。

史実ウンチャラは関係なく、映画として非常に素晴らしかった。
Queenの過剰なほど個性的でバラエティに富んだ曲を堪能できたし、
細かい心理描写も胸に刺さった。

Queen というバンドの歴史とメンバーの家族としての絆の強さ、
また人種・ジェンダー・宗教・などそこにある「当たり前」の中でフレディが抱えていた孤独や葛藤、
コンプレックスや拭いきれない欠乏感、愛を求め続ける想いなどが、
人間関係や親子関係を通し描かれていて心をぐっと掴まれて。。。
そして、最後のパフォーマンスでノックアウトされてしまった!

4人のメンバーやライブエイドの再現性も素晴らしいものだった。

しかし、あの歌声無しではやはりこのストーリーは成立しない・・・・

そう思いません?

 

映画に関しては、Queenの熱烈なファンの方々が素晴らしいブログを書いてるので、
私は、ヴォーカリストとして、ボイストレーナーとして

フレディ・マーキュリーの素晴らしい声と歌唱力の秘密について話したいと思います。
アダム・ランバートやマーク・マーテルのことも少し。

この記事を書く前に、図書館で借りたりアマゾンで買ったりなどして
沢山のQueenに関するインタビューや本を読みました。

また、YouTubeApple musicでやまほどの動画やライブ映像、音源を聴きました。
CDも年代順に全て聴きました。(フレディの亡くなる前のものまで)

このブログのため、というよりただ知りたかった聞きたかっただけですが、
そこから気づいたことを書いていきますね!

ちなみに、STORYの重要な展開に関わるような
本質的なネタバレはありませんけど
映画の中の1シーンに触れることもあるので、
何一つ内容を知りたくない方は、映画を見てからぜひこのブログに戻ってきて下さーい!

フレディ・マーキュリーの歌のすごさ

フレディー・マーキュリーの歌声は本当に素晴らしいです。

ブレのないピッチや音程はもちろん当たり前ですが、
他にも一般的なヴォーカリストには無いたくさんの魅力があります。

実は「Somebody to love」のラストの [ somebody to〜〜]の[to]だけは
すこーーーしだけピッチが低い気がするんだが、、、

レコーディング版でこれだからきっといいんだろうなあ・・
というボヤキはある。。
それでも最も大好きな曲の一つです。

4オクターブもの音域

フレディ・マーキュリーの歌を語る時は必ず音域の広さが注目されます。
曲で調べてみようと思ったら、すでにやってくれてる人がいました〜

フレディ・マーキュリー 伝説的歌声の秘密

 

0:45頃から彼の声域についてイラストを用いて説明してくれていますが、
それによるとF2〜F6まで、つまり、真ん中のドの下の下のファから、
同じく真ん中のドの次の次の次のファ、まででてる、、つまり4オクターブでてるということ。

上のファは、ライブで出る、というわけではないでしょうが
ゆっくりポルタメントして音が上がって行ってるので
レコーディングで切り貼りしてるわけでもなさそうだし。。

いやはや、すごい声です。

フレディは出っ歯?過剰歯?

フレディ・マーキュリーのこの音域は、
あの彼の「歯」と関係しているとよく言われてます。

映画の中でも、
「過剰歯で口の中が広いので、音域が一般的な人より広い」というセリフが、
ブライアンとロジャーのバンドに加入するきっかけのくだりで言われていました。

また、オペラ歌手の森公美子さんが、ネットニュースで
「あの歯が前にでてるから声が前に出る」と言われてたりもしました。

すっごい気になったんですね、これは。
一ヴォイストレーナーとして。

というのは、口の中の広さは本質的には音域とは関係が無いからです。
もちろん歯の並びもです。
(歯並びは滑舌や発音には関係します。)

音域は、声帯の伸展によってのみ決まります。
声帯の左右のヒダが張りを増して振動数が増すことで高い声は出ていきます。
それ以外のものは基本的に影響しません。

過剰歯というのは、歯が一般的な数より多いこと。
ここで考察したのは、、、
過剰歯によって、自然と顎が大きくなったのではないかと。

顎が大きくなるということは、口腔内の共鳴がぐんと広がりを増します。
簡単に言うと、声が響きやすくなる。

声が響きやすいということは、本人は非常に楽に声が出せるはずです。
となると、自ずと声帯にかかる負担が減る。

となると声帯は伸展しやすくなるのではなかろうか、、、

というのが私が導いた結論。

ちなみに、この考察そのものの理論制を確認すべく歯医者の友達に確認したら、
やはり過剰歯で顎が広がることはあるそう。

しかし、彼は、最初フレディを見て、過剰歯ではなくただの出っ歯だと思ったらしい。
「過剰歯って映画でも言ってたよ」と伝えたら、調べてくれて
「前歯の裏に4本生えてたっていうから、これによって本来の前歯が前に動いたのかな、」とのこと。

他の仮説がたてられるときもくるかもしれませんが、
今の所、おおよそこんなところだろうなあ、という結論に落ち着いています。

新しい意見や考察、知識があればぜひ教えてほしいです!

深い共鳴〜Save me〜

フレディ・マーキュリーの声は非常によく響きます。

この曲はQueenの中でかなり好きな曲ですが。
Save me

Aメロの静かなところも声はしっかり鳴って広い響きを作ってる。
声が小さくなると響きも弱くなったりする人も多いですが、
音量に影響されるところ無く共鳴や音色をコントロールできてるのはもうさすが、としか言えません。

声質の違いは、ドラムのロジャーと比較するとわかりやすいかも。
ロジャーはすっごい高音もシャウト系のロックな声でたたき出してるけれど
響く、、というのとはちょっと違う。

もちろん、良し悪しではなくて。
ロジャーの地声と裏声の間のようなMIXヴォイス的なシャウトはすごくかっこいいし。
何よりあのハイトーンコーラスが曲を引き立ててるところもあると思う。

これは自分の作品をロジャーがライブで歌ってる動画。
フレディの歌声とはかなり質が違いますよね。

フレディ・マーキュリーの響く声は、
大きく広げる口の開け方はもちろんのこと、
上述の通りあの過剰歯ゆえの上顎の広さ、から来てるのでは、と想像します。

ちなみに、その歯医者の友達いわく、
「写真を見る限りだと歯の並びからして下の顎は小さそう」らしい。

上顎の空間て非常に大事なのですよ。
のどちんこさんの前、軟口蓋の下辺りに空間が開いてないと
ベタッとしたりこもった声になってしまう。

やはり声の通り道は広いほうがより声は響くしだしやすいんだろうな、って思います。

 

魅力的なヴィブラートWe Are The ChampionsとI Was Born To Love You、他〜

最初に載せた動画「フレディ・マーキュリー 伝説的歌声の秘密」の
4:20頃からヴィブラートについて説明があるけれど、
それによると、ヴィブラートのヘルツ数まで普通の人と違うらしい。

私が思うに、80年位までは、かなり細かいヴィブラートがかかってる。
16どころか32ビートで震えてるところが多い。
ちりめんヴィブラートまではいかないですが、細かいヴィブラートがある。

たとえばこちら。We Are The Championのヴォーカルのみのものがわかりやすいかも。

Bohemian Rhapsodyの発売当時の音源を聴いても、
地声でガッツリ伸ばすとこは同じようなヴィブラートが多い。

しかし、85年のソロ・アルバムからの 「I Was Born To Love You」は
ストレートなロングトーンもあり、もう少し使い分けてるように聴こえる。

すべての曲をヴィブラートに注視して聴いたわけではないので
時期的な変化が実際にあったかどうかわからないけれど、
魅力あるヴィブラートを持っていることは確か。

また、全体的にライブ動画を見ると、80年代からのほうが声が成熟してる印象。
30代になってスタミナもステージのダイナミクスもどんどん増してるように見えますね。

個人的には81年頃〜85 年頃のライブ映像が最も素晴らしいと感じます。

音色の使い分け〜Don’t Stop Me Now〜

まずはこの曲。

冒頭のバラード部分だけでもいくつもの音色が使われている。

ど頭は地声なものの、少し空気混じりの柔らかめの声。
その後エッジの効いた、輪郭のくっきりした地声になったと思ったら
急に裏声を美しく奏でその直後に「So」と地声に戻る。

これ、フレディ・マーキュリーはいとも簡単にやってるけれど
そんなに当たり前にできることではないのだよねえ。

基本はくっきりした地声で歌う事が多いと思いますが、
一方でこんな歌も。。

いつもの歌声の響きやエッジ感は封印して
ロカビリー調の曲を柔らかい声で統一。。
それでも低音はちょっと響きを強くしたりしてて、、もう驚きですよね。

歌い方のダイナミクス〜Somebody to love〜

ポルタメントで舐めるように歌ったたとおもったら、
パキッと瞬間的に高音に当てていくコントラスト。

このダイナミクスにドキドキするのです。
3:06頃から3:25ぐらいがわかりやすい。

ちなみにこの「somebody to love」は
いろいろ見てきたQueen の動画の中で今の所一番好き。

冒頭も終わりも、ソウルミュージックのルバートのようで最高に美しい。

余談ですが、私がQueenの曲で好きだなって思うものは
ほぼフレディ・マーキュリーか、ジョン・ディーコンの作品。

調べると、フレディはゴスペルや民族音楽も取り入れてたらしいし、
ジョン・ディーコンはソウルミュージックが好きだったとか。
納得^^

歌とバンドの魅力が全て入れ込まれてる曲〜Bohemian Rhapsody〜

今述べてきた、フレディ・マーキュリーの歌の魅力のすべてが詰まったのが、
映画のタイトルにもなったこの曲だと思います。

述べてきたたものだけではなく、
オペラパートの美しく丁寧な発声も、
その後のビートにパキッと声を乗せたロックな歌い方も・・・

そして、バンドメンバーのコーラスの美しさよ。。。

自宅にあったCDで度肝を抜かれて一時ハマったのは、
Keep yourself alive , Killer Queen、そしてこのBohemian Rhapsodyのおかげでした。

20数年ぶりにこの映画でその熱が再燃した感じです。
とはいえ、私はにわかファンの一人。

今このQueenブームで、昔からのファンの人がにわかファンを馬鹿にする風潮もあるそうですが(苦笑)、
それでも音楽はとことん自由だと思う。
ミーハー的な気分だとしても、にわかだとしても、
その一瞬の熱が、未来のどの光に繋がるかわからないんです。

自由にどんどん愉しめば良いと思う!

アダム・ランバートとマーク・マーテル

アダム・ランバートは、アメリカのオーディション番組「アメリカン・アイドル」出身で
2012年ころからQueen のフロントマンとしてツアーをしてるらしい。

エッジが効いたロックらしい声に素晴らしく広い音域。
高音はフレディより楽ちんに出してる感じ。
ビジュアルも裏切らないし何よりパッショネイト!

ただ、フレディのほうが声が太くパワフルさがあるように感じます。

一方、マーク・マーテル。

カナダ人の歌手だそうで。
これは、、、、最初聴いた時ものすごくびっくりした。
本当に声が似てる・・・・

音域も広いし輪郭のはっきりした声ながら太さもある。
そして音色も裏声、息混じり、張った地声、細かーく使い分ける表現力。
Queenの公式トリビュートバンド、The Queen Extravaganza にも参加したことがある様子。

でね、彼の顎、ものすごく大きいと思いません?

やはりフレディ同様、共鳴器官が大きく上手に使えてるんだな、と思います。

ヴィジュアル的には、Queen フロントとしては少し男らしすぎる感じはしますが(笑)。
ちなみに、彼は映画の中で一部声を担当しているそう。納得です。

 

ただ、アダム・ランバートも、マーク・マーテルも、
ステージパフォーマンスはやっぱりフレディ・マーキュリーとは全然違う。
フレディは、言うなれば高貴で気高いあばずれ。
もしくは美しいやんちゃ小僧。

声の音色も歌の表現力もぐんと飛び抜けたクオリティなのはもちろんのこと、
一つ一つの細かい動きが優雅でかつエネルギッシュ、時にセクシー。
身にまとうそんな個性は、誰にも真似できない唯一無二のものなのでしょう。

フレディ・マーキュリーのパフォーマンス

今まで「歌声」の魅力に迫ってきましたけれど、
素晴らしいのは歌を含めたそのパフォーマンスそのもの。

ステージング、ムービング、マイクの扱い、ステップ、、どれも他の人が真似できるものではないです。

上でチラッと書いたけれど、
パワフルさと繊細さが、また気品とエロが同居する佇まいがある。

いろんな動画や本を読んだけれど、寄宿生時代の経験や時代の流れも大きく影響していたように思う。

そして、フレディのパフォーマンスといえば、あのマイクスタンド!
立たないけどマイクスタンド!!

ライブ動画を見ていると、フレディがピアノから移動する際には、必ずスタッフがあのマイクを手渡ししてる。
フレディ用マイクスタッフが必ず1名は必要という(笑)

映画の公式パンフを見ると、主演のラミ・マレックにはムーヴメントコーチがついていたそう。
最初はコレオグラファー(振り付けをする人)を検討されてたらしいけれど
フレディの動きは振り付けではない、とラミ・マレック自身が言ったとのこと。

フレディは、子供の頃にボクシング、長距離走、そしてゴルフをやっていて、
それがあのステージングに影響してるのだとか。
マッスルメモリーというらしい。

確かにあの拳を上げるポーズはボクシングさながらだし、
そしてゴルフクラブのように短くしたマイクスタンドを扱う。

誰も真似できない強烈に個性的で、かつパワフルで人の心に届くパフォーマンス。
どこかの記事で(本や雑誌をいくつも読んだのでどれかは覚えて無くてすみません。)、
「フレディは何万人という聴衆の1番後ろの一人とまで一体になるようなパフォーマンスをした」
とメンバーの誰か話してるのを読みました。

動画を見て、そんなインタビューを読むにつけ、
一度でいいからライブに行ってみたかったな、、などと今更ながら思うわけです。

フレディ・マーキュリーの歩んできた道が歌になる

さて、フレディ・マーキュリーの歌とパフォーマンスを左脳的に分析してきました。

でも、発声のクオリティや表現力といったテクニックだけで
人の心をここまで一つにし、動かすことはできない。

歌にはその人が歩んできたプロセスが現れます。
その歌に、曲に、音楽にどれほど心を尽くして砕いてきたかのプロセスが現れます。

最近もつくづくそれを身近で感じたことがありました。

楽しいだけとは違う。
やはり曲と向き合う、声や歌と向き合う、それは自分と向き合うこと。
そこには当然苦しみも葛藤も生まれます。

しかしそのプロセスの中で生まれた様々な想いが
歌として昇華された時人の心を打ちます。

大胆だけど繊細で、人一倍愛を求めたフレディ・マーキュリーが人生の中で抱えてきた想いは
一つ一つの曲の中に現れているんだなあ、と改めて感じています。

Queen に恋をする

実は先日、応援上映にも行ってきました。
思ったほど声出してる人がいなくて、
私もちょっと風邪気味で喉が痛く歌えず残念だったけれど。
(あれはファン仲間と行ったほうが絶対楽しいはず。)

この映画で音楽以外で最も心に刺さったのは
「私が何者であるかは私が決める」
というフレディ・マーキュリーのメッセージです。

当時、人種、宗教、ジェンダーにおいてマイノリティだった彼は
様々な「正義」や「当たり前」と思われるものと対峙してきた。
スターであるがゆえの孤独や虚像にも悩まされたことと思う。

でも、

自分がどういう人間なのか、どう生きるのかは私が決める

という力強いメッセージをも、残してくれた。

このゴスペルシーズンだったのに、ゴスペルやクリスマスソングそっちのけで
一日中Queenを聞く日々が続いていました^^
今もです。
Queen に、フレディ・マーキュリーに今更ながら恋をしているようです。

このメロディアスでダイナミクスが豊かなボーカルに美しいコーラス、
たくましいバンドサウンドに、20数年ぶりに改めて夢中です。

比較するのは恐れ多いかもしれませんが、
一ヴォーカリストとして本当に素晴らしく尊敬の念にたえません。
彼の歌を完コピすれば、実力が格段につくとも思う。
今、ちょっぴりトライしてるものがあります。
熱が冷めないうちに皆さんにシェアできたらなーと思っています。

さて、最後に。

Queen 最後のシングル。
フレディの亡くなったあとにブライアン・メイによって作られた、
フレディのことを追悼している曲だそうです。
ブライアンとロジャーが歌っています。

No one but you(ONLY THE GOOD DIE YOUNG)

半年前に亡くなった次兄を想い、泣きました。

太陽に近づき過ぎ輝き早すぎる死を迎えた若者たち。
Rest in Peace.

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