こんにちは 東京新宿・大人のためのボイトレ教室Harmoniaのフェルナンデス由布子(@fernandesyuko)です。
音程がよくて正確に歌えている歌とかっこいい歌って圧倒的に違います。
ただ上手といえば前者の方かもしれません。でもそれはただうまくメロディラインををなぞっている感じ。
音程は悪くないし、ピッチもいいです。でも何か違うんです。
歌にメリハリがなかったり
平坦に聞こえてしまったり
ノリが悪かったり・・・
もしくは・・・
理由は全くわからないけど
とにかくかっこよくない!
なんだかいけてない!!
録音してみると想像しているのと全然違う!
ということの方が多いかもしれません。
思い当たること、ありませんか?
かっこいい歌を歌う人とそんな風にしか歌えない人、何が違うのでしょう?
うまい歌なのに、かっこよくないのはなぜ?
「うた、うまいね!」と言われるのと
「うた、感動しました!」ならば、
多くのヴォーカリストは後者を言われたい。
そのために歌を練習しているとさえ言えるでしょう。
でもそこには大きな差がある。
ただただうまいだけの歌と、人の心を動かすほどのかっこいい歌と、どんな差があるのか、、
それには主に3つの理由がります。
音程は合ってるしピッチも悪くないのになぜいけてない
曲の聴かせどころをわかっていない
曲にはいろんなしかけがあります。
歌い手の声が最も良く聴こえるキーに設定されているし、メロディがより美しく、時にドラマティックに際立つよう構成されてる。しかるべきアレンジがされています。それをきちんと理解しないと曲の良さを生かしきれません。
聞く耳が育っていない
じゃあどうやって聴くの??
歌のメロディばかり聴いて曲の全体を捉えていないとなかなか曲の聴かせどころに気がつきません。曲を理解していくにはちょっとしたコツがある。それを手に入れて、どんな曲にも応用できるよう耳を育てたいところ。
その曲のマインドを理解していない
なんでそのアレンジが施されたのか。
曲のマインドともいうべきものまで想像できると、曲はグッと変わります。なぜAというアレンジになったのか、Bではなくて。100%の正解はありませんがそれを考えるプロセスが曲に深みを与えます。
非常に抽象的でマインド論のようにも見えるこの3つの理由。
ともするとどうやって解消して行ったら
良いのかわからないかもしれませんが、
そこには最大にして唯一のアプローチが存在します。
それは、完コピです!
これは目的ではなく、プロセスこそが大事です。
曲の完コピが歌の上達にはもっとも効果的です。
かっこいい歌のための最短最速の道
歌を上達させてイメージ通りに歌い、
人の心に感動を与えたいなら、
曲を完全にコピーするのがなにより早くて もっとも効果的です。
ただ、「完コピ」と言っても、
ただ単純にメロディラインや
歌い回しをコピーするのではもちろんありません。
それはただ歌えるようになったというだけ。
それだけでは「ただうまい歌」から絶対に抜け出せません。
メロディラインや譜割を完全になぞれるのは大前提。
そのうえで、
・フレーズごとや構成ごとの強弱
・一音に対する減衰やダイナミクス
・曲全体を流れるグルーヴ
・声の音色や密度の変化
・ビブラートのかかりかた
・アレンジを把握し曲をどう生かすか
・歌い手のルーツや背景
・曲が出された時の時代や流行
・etc….
このような、曲の中にあるしかけを理解して余すとこなコピーする。
具体的に文字化、言語化できなくても構いません。
完全再現を試みればよいのです。
(ボイストレーナーは言葉にできなければいけませんが)
歌の中の意図的なしかけやちりばめられている細かい表現をゼロからクリエイトできる人はほとんどいません。
だからこそ、世の中にすでに存在する素晴らしい歌の中から表現の数々を学び、自分の中で再現できるようにする必要があるんです。
こうやって、自分という引き出しの中に入っている絵具を増やしていくことが、色彩豊かな歌を歌う手がかりになります。
これが本来の完コピです。
完コピはものまねとは違う
ものまねとは、相手をそっくりに真似て誰かに届け、笑いや感動を与えることでしょう。
一方、完コピは上述したように、絵の具を増やすためのプロセスです。
だからステージの上で誰かに届ける時は、完コピで練習した時と同じように歌う必要はない、、私はそう考えています。
例えば・・・
完コピで練習した時は、
Aメロは赤紫と水色の組み合わせ
サビはサーモンピンクとモカホワイトで
これをしっかり練習して自分のものにした。
でもステージの本番の空気では
なぜかそんな気分にならなくて、
サビはサーモンピンクと水色が自然と出てきた。。
こういうことです。
ステージの上はその時の自分の感情をその場に集中して思い切りだせばいい。
その時に絵の具がいっぱいあったら選択肢も組み合わせも倍増しますよね。
絵の具を選ぶ時に集中力や的確さが伴えば、きっとよりスムースに取り出せることも可能になります。
そんなパフォーマンスのために、完コピをするのです。
最初は難しく感じるかもしれません。奥が深いので私もまだまだなところ、もちろんたくさんあります。
でも、ちょっとしたコツを覚えて繰り返し慣れていくと、気がついたら引き出しに少しずつ今までになかった色の絵の具が並び始めます。
そうなったらもっと楽しくなるはずですよ!