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歌のテクニックVS表現力

こんにちは 東京新宿・大人のためのボイトレ教室Harmoniaのフェルナンデス由布子(@fernandesyuko)です。

自分が歌いたいことを心から伝える表現力があるならテクニックは不要ですか?

そんな質問を匿名でいただいたことがあります。

歌を歌うことで自分の想いや気持ちを
思い通りに表現したいということでした。

それができたら最高だよね、
私が目指しているところでもある。
というか、全ての歌い手が目指していることでしょう。

「歌は心」とも言われるし、
まずは想いが先立つことも多い。

でもね、だからこそテクニックが必要なんです。

歌になぜテクニックが必要か

思い出してみてください。

自分の好きな歌手を。
表現力抜群で心のこもった歌を歌える歌手を。
人を感動させる歌手を。

そこには
ピッチがぶれていたり
音程が悪かったり
がなり声だったりする
歌い手はいないはずです。

ピッチや音程がぶれていること、
声の密度がばらけていること
などは、同じ楽器を持つ人同士として違和感を感じるんです。

心地よさを感じることは無いんです、残念ながら。

 

そうではなくて、
・音程やピッチは安定していて
・声の音色は七色に変化して
・歌詞に説得力があって
・声の響きが豊かで

よくわからないけれど、
聴いてて最高に気持ち良いし
なんだか気持ちが伝わってくる、
泣ける!!!

という歌手をきっと思い出すでしょう。

でもこれらのことは、
全てボイトレのテクニカルな側面が関与しています。

相手の気持ちを動かすような歌にはテクニックが必須なんですね。

表現力も、テクニックの一部です

じゃあ、「テクニック」を重視して、
「表現力」は放っておいて良いの?
というと、もちろんそんなことはないです。

「表現力」は「テクニック」の一部ですから。

私たちの心を捉えて感動する曲というのは、
素晴らしい表現に満ちています。

たとえば、

消え入りそうな切ない声も
空気をつんざくようなハイトーンも
ドキドキする緩急を持つグルーヴも
包み込んでくれるようなビブラートも

「基礎」という土台の上に成り立ってるテクニックから生まれた表現。

基礎的な側面が安定していなければ
複雑な表現はできるはずもなく、
思い通り気持ちを伝えることには至らない。

ただただ「○○したいんだよー!」
と叫ぶことは
「おもちゃが欲しいいんだ!!!!」
と泣き叫ぶ子供と同じ。

具体的な思いを伝えていくためには
ただ泣叫ぶだけじゃやっぱり伝わらないです。

安定したロングトーンが出せなければ
抜けていくビブラートは絶対に出せないし

瞬時に減衰できる声帯の伸展力がなければ
テンポ良いグルーヴは生まれません。

思い通りに表現するための基礎的なテクニックが必要、とも言えるかもしれません。

自分の気持ちを伝えるための
絵の具が3色しかないのと、24色あるのとでは、
そこに描かれる色彩の豊かさに雲泥の差が出てきます。

私たちは自分の引き出しに絵の具を増やすように、
基礎的な歌の土台を強化して、
表現力のストックを溜めていってこそ、思い通りに歌うことができるんです。

 

テクニックが無いけど感動する歌

それでもね、やはりテクニック的に「歌が上手い」とは言いがたくても感動する歌を歌う人は確かにいます。

たとえば、先日の記事でも書いたけれど
この紅白のビートたけしさんの歌は素晴らしかったですよね。

[sc_blogcard url=”https://voiceandsoul.me/column148/”]

記事で書いたように、
なんならリズムも走っているし、
滑舌が良いわけでも、
音色が豊かというわけでもない。

それでもぐっと胸をつくものがあります。

これは、生き様が声に出てるのかなあと。

ボイトレ的な言い方をすると、
音程や音色の安定度はさほど高く無いけれど
声密度や声圧、前に声が出てくるパワーのようなものが凄まじい。

自分のあり方に絶対的な自信も持っているのかな、とも思える。

その上で紆余曲折して迷った過去も
考え抜いた自らの選択も
その失敗も成功も大事にしているような、
どっしりとした存在感に覆い尽くされた歌だなあ、と?
(でももちろん音程がひどかったりがなり倒してるわけでは無い。きちんと一通りの基礎は備えている歌い方とも思います。)

下手でも感動する歌がある、に逃げない

できない人ほど、
「下手でも感動するからさ」
と言う傾向にあります。

残念ながら、そういう人の歌ほど
基礎もテクニックも伴っていなくて、
心は動かされません。

しのごの言うのは必要とされるべきことがきちんとできてから!

だから、趣味でもなんでも人前で歌う人は、
自主練でもいいからボイトレしたほうがいいな、と思います。

多くの人が、歌で伝えたい気持ちと、それを表現できる基礎テクニックの乖離が激しいからです。

人は伝えたい想いはいつだって溢れてて
自分が持つテクニックを上回るのが常。
人前で歌いたい、と思うような自己表現力を求める人ならなおさらです。

少しでもその差を詰めるべく、
私たちは走り続けてるんです。
思い通りに気持ちを伝える歌の表現のため
トレーニングを重ね、人としての経験を積み続けるんです。

私たちがトレーニングで蓄えた絵の具を
どんな順番で取り出して、
どんな風に色を混ぜ合わせて、
どんな絵を描いていくのか、
これこそがその人の人生や経験が現れるところなのではないでしょうか。

一生修行です!

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